1. リノベーションの定義 リフォームとの違い
「リフォームとリノベーションって、何が違うの?」という事をよく聞かれます
英語のreformは本来「改める」といった意味を持つ言葉で、日本では「修繕」や「改修」という意味で使われます。キッチンやユニットバスの入れ替え、壁紙の張り替えなどはこれに当たります。
一方、renovationは、英語圏では、修理とか復元、改装という意味で使われますが、日本では大規模修繕や用途変更など、単なる模様替えとは違うリフォームを指すことが多いようです。 少し前、「スケルトンリフォーム」という言葉が流行りましたが、これは骨組み(スケルトン)だけを残しあとはすべてつくり直すというリフォームです。リノベーションはそれに近いイメージがあります。
つまり、基本は構造部を残しつつ、補強して給排水を新設することで住宅の寿命を延ばし、さらに断熱・耐震性能を向上させる工事がリノベーションと言っていいのではないでしょうか。
2. 新築マンションとリノベ 価値と価格で比較
現在では「前出の構造部を残して住宅性能を向上する」というリノベーション以外にも
・リビングをリノベーション
・水まわりをリノベーション
・プチリノベーション
などなど、リノベーションという言葉は多岐にわたり使われています。
こう書き並べると、リフォームという言葉をリノベーションに言い換えただけに思えます。
リノベーションの定義が明確にあるわけではないので、使い方は自由ではあるのですが、業者側の「リフォームよりリノベーションと表記したほうがよい」という考えから、様々な表現がされているものと推測できます。
戸建てであれば「リビングや水まわりのある一階部分だけを耐震補強・断熱補強し、住宅性能を向上した。」というケースはリノベーションにあたると思います。
しかし、マンションリノベの場合は根本的に違います。
多くのマンションの個々世帯(専有部)は基本的には鉄筋コンクリート造のコンクリ躯体に囲まれた箱のような状態になっていますので、そもそも構造的な耐震補強は必要ないですし、耐震性能を向上しようがない。
ですが、断熱性能の向上・維持管理性の向上という観点から言えば、基本的にはコンクリの箱の中身を全面的に改装することをリノベーションと言えると思います。
もう少し違う角度(施工面)からお話しさせてもらうと、戸建て(木造)は部分的でも床下に潜り給排水管を取り換えたり、一階部分だけを構造的に補強したり、断熱することは可能です。
しかし、マンション個々世帯は床下に潜ることはできませんので、給排水を交換することはかなり難しい。また一つの箱ですので、一部だけ断熱しても多くの方が悩む結露やカビの根本的な解決にはならない。
リノベーションとは性能向上が基本という観点からマンション個々世帯に限って言えば、リノベーションとは全面的な改装と言えるのはないでしょうか?