床材・吉野杉
Toivoのリノベーションの一番の特徴は、奈良県から取り寄せている吉野杉という杉材を使っていることです。
奈良県の吉野地方は山いっぱいに咲く吉野桜で有名ですが、吉野杉はその美しくきれいな密林で育った杉です。
私たちの師匠である株式会社マスタープランの小谷先生が開発された、厚さ30mm・幅215mm・長さ2mのマンション用の杉材として加工した吉野杉を使わせていただいています。
よく、なぜ床に杉を使うんですかと聞かれます。杉には使用するメリットと、もちろんデメリットがあります。
以前は、ナラ材やオーク材、アッシュ材など堅い木材を床に使いたいといわれることもありましたが、広葉樹の堅木は堅くて傷つきにくいという点では良いのですが、とても冷たいのです。冬は素足ではいられないほど、とてもひんやりとします。
欧米みたいに室内も靴で過ごすのなら問題ないのですが、日本では靴を脱いで生活します。
床は最も肌と触れる場所ですので、やっぱり優しい素材を使いたいところです。
その点杉材は、夏は爽やかで、冬は冷たくなりにくい特徴があります。
調湿効果があって空気もきれいにしますし、素足が気持ちいい空間を作りたいという思いから、この良質な吉野の杉を30mm厚で使っているのです。
もちろんデメリットもあり、柔らかい分傷が付きやすく、汚れも付きやすい欠点があります。
しかし基本的には、汚れない、傷つかないという床材はありません。
もちろん傷つきにくい、汚れにくいものはありますが、既製品の複層材の上に塗膜が作ってある一般的なフローリングは、はじめはとてもきれいですが、一度傷ついたらそこから腐食し、剥がれていき、10年もするとボロボロに劣化してしまいます。
しかし無垢材というのは作った時から焼けていき、年を経るごとに深みが増し、美化していきます。
吉野杉は、10年ぐらい経つときれいな飴色になっていきます。経年による美化を楽しみ、味わえることも、無垢材の魅力かと思います。
さらにお伝えしたいのは、吉野杉のとても良い香りです。
初めて家に入った時やゲストが来た時、「うわぁ!木のいい匂いがする!」という感想を言われる方がとても多いのですが、それはこの吉野杉から漂う香りです。
杉の香りにはリラックス効果もあり、また家族の暮らしの思い出がこの木の香りの中で築かれていくのです。
今は幼い子供たちが育っていき、いつかふと木の香りがした時に家族を思い出す。お父さん、お母さんを思い出す。
また頑張ろうと思ってほしいなという思いもあり、香りが良い吉野杉を使いたいと思っています。