音楽を楽しむ 夫婦ふたりの暮らし
交通の便も良く住みやすい、人気のさいたま市中央区(旧与野市)での
木のマンションリノベーション。
夫婦二人の終の棲家としてご依頼をいただいた。
既存の間取りはよくある田の字型の長方形3LDK。
北側玄関を入ると両側に個室があり、暗く閉鎖的であった。
南側と北側との温度差が大きかったため、南側のリビング・ダイニングと和室でほぼ生活されており、
北側は趣味のものや生活用品など荷物置き場となっていた。
趣味がたくさんあるご夫婦が楽しめて、さらにそれぞれがゆったりと過ごせることや、
きれいに片付くスッキリとした暮らしを希望されていた。
音響設備配置や収納など多くの工夫が詰まっており、くつろげる居場所を多く作った。
夫婦ふたり、つかず離れずの暮らしが実現した住まいである。
全体の温度差を軽減するための断熱工事やインナーサッシはもちろんのこと、
玄関断熱ブラインドが寒さを軽減させている。
またメイン動線に加えてWICを通したサブ動線を確保し、南北を貫く二本の動線が全体の温度差を軽減。
家のどこにいても快適に過ごせるよう、温熱環境を向上させた。
南側/LDK
メインのリビングは小下りのピットリビングとして落ち着ける空間に。
テレビボードを造作し、シングルソファを二つ置ける広さとした。
収納家具には、趣味であるレコード等の音響設備を収められる広さを取り、リモコンが通るよう麻の簾戸で仕上げた。
リビング各所に配置したスピーカーへの配線も隠せるよう工夫した。
キッチンは以前は閉鎖的な空間であったが、リビングを見渡せるオープンな配置に。
収納を充実させつつ、夫婦二人で料理ができる広さを確保した。
趣味のワインを楽しめるようワインセラー収納も造作。
カウンターデスクでちょっとした読み物もできる。
大きな柱と梁が突出していた南側の2つの掃出し窓は、ラインを整えながら広い木枠で大きく囲い一体感を演出。
給気口も同じ木で隠して美しく仕上げ、大工の粋な技が宿っている。
北側/趣味室・小上がり和室・玄関
北側の玄関を入りガラスの趣味室と小上り和室を開放的に配置。
ガラス建具が印象的な趣味室はカーペット仕上げとし、
広々と光を通しつつ空間を分けて趣味に没頭できる空間とした。
小上がり和室は玄関からベンチの高さになっており、ちょっとした腰休めに。
セカンドリビング的に使うこともでき、建具を閉めればプライベートな寝室に。
また下部は収納になっており、いくつもの役割を兼ねている。
小上がり和室の三本建具を開放すると北側窓からの採光が玄関や廊下にまで届き、
さらに玄関ドアのハニカムブラインドを下げれば温熱環境も整い、
北側を明るく快適な空間とすることができた。
回遊動線
メイン動線となる廊下には壁面収納を造作。趣味の物を綺麗に片付けることができる。
浴室と洗面脱衣所は既存の位置から大きく移動し、家事がしやすくなるようにキッチンから洗面への回遊動線とした。
またサブ動線として、リビングからウォークスルークローゼット、小上がり和室まで通り抜けられるよう設計。
暮らしに合わせた整理収納計画を立てながら、それぞれの動線上に収納を配置した。
この二本の動線が、南北の温度差を軽減させている。